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「君の膵臓をたべたい」を読んだ。 [本]

海外にもっていくときに、ホラー小説だと勘違いされたらしい本作。劇場アニメ化されたと思っていたらまだだった。実写映画化は先にされてるんだね。原作となる小説を読んだのだが、文章に多少難はあるがそこそこいいお話というところ。映画見に行く人にとっては害にしかならない、今回もネタバレ感想いきます。


君の膵臓をたべたい (双葉文庫)

君の膵臓をたべたい (双葉文庫)

  • 作者: 住野 よる
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2017/04/27
  • メディア: 文庫



君の膵臓をたべたい

君の膵臓をたべたい

  • 作者: 住野 よる
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2015/06/17
  • メディア: 単行本



不覚にも泣いてしまった。まぁ恋人が亡くなる話で泣かないわけはない。死んだ後とか別れた後にいっぺんに相手の心情を知るってのは割とありがちな泣かせテクかもしれない。全く感動しないと言ったら嘘になるが、どうにも不完全な部分があるのも否めない。文章に多少引っ掛かりがあるようだ。

主人公の名前が【秘密を知っているクラスメイト】とか【仲良し】で伏せられていて鬱陶しい感じなんだけど、名前を最後まで引っ張っていくほどの面白さがあったかというとそうでもない。実際、実写映画ではあっけなく本名を明かしてしまったらしいし。まぁそれも読んでいるうちにそれほど鬱陶しくなくなる。最初はゲームの名前を入れるところを想定しているのかなと思っていたがちょっと違った。ともあれ、見た目以上にそんなに重要なギミックではなかった。

あと状況の比較でどうしても納得できない記述があって気持ち悪かった。やっぱり一般読者に納得できないようなことは、前もってこれは自分が考えていることで一般的じゃないけどって断っておかないと違和感ばっかりが立ってしまう。「てにをは」程度は当たり前に校正すべきだけど、そうじゃない論理整合性ってのもある程度保たないと読んでいて安定感が出ない。読んでいて気持ち悪くなってくる。少なくとも共感は得られない。

それと主人公が本ばかり読んでいる人を遠ざける暗めのキャラなのにもかかわらず、ヒロインと話すときには非常にウィットにとんだ話し方をする。普段人間づきあいを避けている人間はそんな気の利いたことを言えないものだ。そんなの村上春樹の小説に出てくる主人公だって無理な話だ。特に異性に対してはさらに普通に振る舞えるとはとても思えない。コミュニケーションなんて日ごろの鍛錬があってこそのもので、その最たるものではないだろうか。そこのところ、やっぱりフィクションなのだなと感じてしまう。

それ以外はなかなかいいものであった。共病文庫という設定は本の主軸をなしていていい仕掛けになっていたし、ヒロインの妙に明るい性格は死に至る病気の裏返しだという事もなかなか良かった。妙に明るすぎたと思っていたが、家族には必ずしもそうではなかったのを見て、ヒロインもただのあほの子じゃないのだなとちょっと見直した。まぁ一年以内に死ぬと知らされて、明るさをずっと保つってのは周りを気にする子だったとしても無理がありすぎるし。

女の子とハグするのはちょっとほほえましい感じだな。まぁ若い身空でハグだけで止めておくことなんてできないのだろうけど、死んじゃったらしょうがないよね、という事で。死んじゃうんなら避妊気にしないでいいじゃんというのは男の言い分なんだろうな。というか、男女の仲よりも深い仲であることを共病文庫で知らされるわけだが、青春的な小説としてはこれでいいのだろう。

アニメ映画化して夏休み後にやるわけだけど、内容としてはそこそこ面白いかな。アニメ化するときに乗り越えるべき描写があるわけだけども、漫画化されているわけだし普通にできるんだろうとは思う。しかし、小説の漫画化というのはいつも眉に唾を付けて見ないといけない。あまりにグレードダウンしたものが多いからだ。というか、すでに売れている原作を元に描かないといけない人間に大したものが描けるかと言われれば微妙なところだ。

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