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反抗反発の時代 [音楽]

自分は90年代の初頭に日本のミュージックシーンを見限って、洋楽にどっぷりとハマった。初めは中二病的なものから始まったのだが、高校生の時になると日本よりも世界の方が断然面白いと思って、日本の音楽を熱心には聞かなくなった。

自分の高校は暴力の微塵もなく、時期的に尾崎豊が流れる世の中でもなかった。というか、尾崎豊は今と同じようにネタにされているぐらいで、ガチで聞いている人はたぶん少なかった。好きな人はいたんだろうけど、ごくマイナーなのでバカにされて終わりというオチかいぶかしげに見られて終わりだったかもしれない。

時期的にヤンキーはほとんど絶滅しており、少し文化は残っていたものの裏でダセーと言われていたようだ。だからごく個人的な趣味になり下がっていたし、そこまでしてヤンキー道を貫こうという人もいなかった。もともと偏差値の高めな高校だったので、そういう環境になかったのかもしれないが、今日から俺はとかはマンガの中の世界で、今時ここまで尖っている不良っていないよなぁと思ったものだった。

なので世の中も若者が反抗や反発をしているような時代ではなかった。90年代は音楽的にもカウンターカルチャーとメインカルチャーという対立構造があまり無くなっていて、ロックバンドでもメインストリームではないサブ的なオルタナティブ音楽が流行っていた。Nirvanaなどは既存の対立を破壊した立役者として挙げられるが、意図してそうなったかどうかは別として、Pearl Jamなどとの対立はあったものの何かに反抗するというメッセージは基本的になかった。

僕は単純にそういう音を楽しむ的な音楽世界が好きだった。政治的なメッセージがあるものもあったけど、内容的にはノンジャンルとかフュージョン的なジャンルも多くあった。多くあったが故にムーブメントとしてはそれほど確立されたものはなく、一括りにオルタナティブに括ってしまうところもありがちであった。FatBoy Slimとかのビッグビートもあったがその他のアーティストが追随できるものでもなかった。

その後もインターネットのコモディティ化でSNSが台頭し、意見も出しやすくなったり先鋭化したりした。先鋭化もしたが平均化もした。いろいろな方面にダラーっと広がった感じで、マスコミが文化を主導するという形ではなくなった。

ただ音楽的には2000年代以降にはあまり大きなムーブメントはなくて、あっても昔あったヨーロッパのダンスミュージックの焼き直し的なEDMなどで、その中で特徴的な音楽も大ヒットする楽曲も無くなっていった。そもそもミュージックシーンが面白くなくなった、と感じている。たぶんそれは感受性が低くなっただけというわけではあるまい。90年代を中心に音楽は聴いていたが、70年代も80年代も有名な曲はあったし聞いている。だけど21世紀になってからは新しい曲はあまり聞いていない。率直に言ってつまらない、または耳に残らないからだ。

日本のテレビでも音楽番組は非常に減っていて、NHK以外は壊滅的だと思う。それは90年代の頃には既に始まっていて、カウントダウン的な番組も少ないし、ラジオを聴くという習慣もどんどん薄くなっていった。特に聞きたい人の番組を聴くというのは今でもあるのだけれども、日常的にだら流しする的な行為はあまり無くなった気がする。コンビニで聞くにしても有線放送とかだし、音楽ばかりではないしね。

海外ではSNSを政治活動というかデモとかに使うといった行為がたくさんあるのだけれども、日本はそこまで深刻なことはなくて、ほんと好きなことばっかり言っている人が多い。それでいいとは思うけど、何かに反抗するとかいうことはあまり無くなってしまったように思える。単発的に草の根的に運動が起こったりするけれど、昔の学生運動のようなものは全く無くなってしまった。

世の中が良くなっている方向にはあるとは思うので、反抗することも少なくなって、反抗というよりも何をやったら良くなるだろうという方向性に変わってきているのかもしれないと思った。それ自体良い傾向ではある。だけど、IT関係のDX的な本質的な革新というものは、ある程度反抗と破壊が必要だとも感じる。それがいいかどうかは別にして、そういう時期を迎えることも今後あるかもしれないなと思ったりした。

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