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反知性主義か… [本]

反知性主義という言葉を主治医から聞かされて、そんな言葉もあるんだなと思った。最初聞いた時は、知性に反する主義なんだろうなと思っていたのだが、実際はそんなに簡単な話ではないらしい。だから、橋下徹が反知性主義って言われるのが嫌だみたいな事を言っていたらしいのだが、別にそれ自体橋下に使っていたとしても、知性がないわけでもなんでもないわけである。その状態を見ていないからなんとも言えないけど、たぶんアメリカの反知性主義を日本に当てはめたら橋下もそのカテゴリに入ってるよと言われたんだと思う。

『反知性主義: アメリカが生んだ「熱病」の正体 (新潮選書)』を読めというのが早いが、基本的にアメリカのポピュリズム的なところと似ているっぽい(というかかぶってる?)。いわゆるトランプの支持母体の考え方なんだけど、それがアメリカのキリスト教がこじらせてひどい状態になっているようだ。アメリカという先進国ではどう考えても理解しがたい原理主義的なところがそこから来ていて、トランプみたいなならず者を大統領にまでさせてしまった。


反知性主義: アメリカが生んだ「熱病」の正体 (新潮選書)

反知性主義: アメリカが生んだ「熱病」の正体 (新潮選書)

  • 作者: 森本 あんり
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/02/20
  • メディア: 単行本



橋下徹が反知性主義という言葉をはっきりと理解して怒っていたのかはわからないが、どちらにせよ日本にアメリカから出て来た反知性主義を当てはめるというのは雑すぎる気はする。ただ保守派層がインテリ層をないがしろにする構図は似ているので、日本もネトウヨを終着点とする右翼・保守派と、アメリカの共和党を主とする保守派は同じようなものかもしれない。

今回のアメリカ大統領選挙は日本でも盛り上がったが、なぜトランプがここまで強いのか訳がわからないことも多かった。日本でここまで滅茶苦茶な暴言魔王を国家の頭に据えることなんてまずありえないし、とはいえトランプと安倍・菅の独善的な政府運営に違いがあるのかといえば、その危うさは似ているものがある。

何にしてもトランプが再選されなかったことは、アメリカにもまともな人間がいるということを証明したようなものだ。というか都市部はバイデンで、田舎はトランプという感じが見て取れたのも、アメリカのキリスト教の根の張り具合を具現化したような感じになっていたんだろう。日本でも田舎は自民党が強かったりするものね。

にしても、アメリカに前時代的な考えをする人が多くいるということに驚くとともに、キリスト教が絡んでいるとは知らなかった。アメリカはもっとリベラルな場所かと思っていたら、とんでもなく旧時代的なところがあったのだった。こんなに色々な所から情報を得られる世の中になったにも関わらず、視野狭窄的なキリスト教義が居続けることができること自体驚きだ。


結局、民衆はわかりやすい方に行く。だけどわかりやすい方面というのは、わかりやすいバカに利用されているだけの世界でもあるわけだ。ただ日本は欺瞞をそのままにする人は多くはないので、王様の耳はロバの耳であれ、裸の王様であれ、おかしいということはおかしいと言う。だから八百万の神の世界としては、いろいろな見方が存在することを願う。

でも、日本の芸能界とかを見ていても、安倍支持の熱心な信者が結構居て訳がわからない。どこにその魅力があったのか、支持したところでメリットはどこにあったのか、今でもわからない。モリカケ問題にしても利益享受者以外はなんの得もないのだ。なんで個人の利益のためだけに動く人間を支持するのかわからない。安倍に金をケチられて火炎瓶を投げた集団の方の心情の方がまだ理屈的にわかる(その行為自体がいいとは思わんが)。

極論を言うと、個人的な利益のために動いてもある程度は構わんが、それ以上に公共の利益を生み出すことをしているかどうかなんである。だって何も結果残してないじゃん。なのにスキャンダルだけ。議員として仕事になってるんですかね。そして二度も途中降板する持病持ちなのに国家の一番上に固執していたのも、自分の体の方をもっと大事にしてよと言いたかった。

反知性主義という言葉も、人を見下すような含みがあるので、本来的な知的階級に対するカウンターパートとしての意味が伝わればいいんだろうと思う。言葉が一人歩きをして、バカがバカと言われていると思ってしまう事態は避けたい。先の本だけど、アメリカの歴史として面白いらしいので、深くアメリカを知りたい人は読むといいと思います。

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