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朝井リョウの「何者」を読んだ。 [本]

朝井リョウは若くして売れた作家で、映画化も結構されている。映画を見りゃいいんじゃないかと思うんだが、それはそれで面倒なのだ。結局、金のかからない方法で消費しなくてはならない底辺だからしゃあない。とはいえ、積極的にいくほど面白いと思えるものは少ないんだがな。

「何者」は大学生の就活の話で、Twitterを絡めて話が進む。Twitterでメールアドレスで検索できると書いてあって、本当にそうなんかなと調べたら、デフォルトで開示しないようになっていました。Twitterの性格から言うと途中で文句が入って止めたんだろうな。当時は無断で開示されていたと。開示できるようにもできるけど、そうしている人は少ないはず。まぁそういう人はFacebookとかやるんだろうな。

最後の方でちょっとしたドンデンがあるのだけれども、伏線というか当然そうなってもおかしくない事実を述べられていても、あぁそういうことになっていたんだねというすっきり感がありました。なんか、推理小説とかで伏せられていた事実で話がドンデンするとか、そんなのしらねーよ的なものを読むのが大っ嫌いなんだよね。そういう意味では、とても公平な文章と言っていいのではないだろうか。

就活の理不尽さなど色々あって、就職氷河期の頃を思い出してしまったけれども、全体の内容としては群像ものとしてよくできた作品であった。ただ難点があるのは、文章に何のきっかけもなく場面展開していたりするところ。回想かなと思ったら、現実に戻ってきたり、場面転換したと思ったら詳細に述べるために元に戻ったりすごく気持ち悪かった。

そういうのは、自分でわかっている分には読みづらくはないのだろうけれど、何の前提知識もなくそれをやられてしまうのはきつい。正直、読む側を考えていない技巧主義のオナニーとしか思えない。まぁ若いからそういうのも許されたんだろうけど、もう少し長いスパンでそれを使わないと生かされないし、ただ単に時系列の順序がおかしい文章としか読めないのだ。そしてそれを使う必然性が感じられなかった。それ以外はなかなか悪くなかったよ。


何者 (新潮文庫)

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  • 作者: 朝井 リョウ
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スマートフォンが普及してきたころの就活の話として歴史的な価値もありそうな気もするし。出てくる女の子が基本けなげでいい感じであった。

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