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STAP細胞って名前も歴史から消えるか [自然科学]

STAP細胞については、大学の勉強からしても(専攻というほどやってなかったけど)ブログの話題に出すはずだったんだけど、今まで出さずにいた。なんかヤバいみたいな雰囲気になっていたけど、完全に否定というか撤回するみたいだ。ってもう結末がわかってるのかもしれないけど、一応書きます。


 
STAPってのは何の略だったっけ? なんか見当がつかないな。前に見たんだけどちょっと見慣れない単語だった気がする。日本語では「刺激惹起性多能性獲得細胞」で惹起という言葉がかなり生物系を離れている感じを受ける。

英語ではStimulus-Triggered Acquisition of Pluripotency cellsですね。
Stimulusが刺激とか刺激剤。酸で出来るとか言ってたな。
Triggeredがトリガーってことで、Stimulusを引き金としてって事ね。
Acquisitionは買収じゃないから、獲得とか修得って意味だろう。
Pluripotencyってのはバリバリにテクニカルタームで、多能性、多分化能だそうだ。まぁ英英辞典にすら載ってないな。

惹起って物理かなんかで出てきた気がするんだけど、何だっけ? あ〜アレは励起か。惹起は思ったよりも普通の言葉で「事件や問題を引き起こす事」だそうだ。ん〜わざわざこの言葉を使うのは、法律用語みたいで気持ち悪いな。刺激で多分化能を得られた細胞、って事だけど、訳語とさほど変わらなかった。とにかく、iPS細胞と同じように、未分化の状態に戻って他の細胞に分化する能力を得るってことだよね。それが酸に晒す程度のオペレーションで出来ちゃったから、マジかよすごい灯台下暗し的な発見だったわけだよね。




なんで撤回にまで至ったかは、結局、再現性がなかったからということに尽きるんだろうけど、恐らく小保方さんがやった実験で、iPS細胞並みの万能性を発揮していたのだろうと思う。しかし、他の人が作る事が出来なかったという事だ。

何で再現性がなかったのか、ということなんだけど、恐らくその扱ったネズミかなんかが特殊だったんだと思う。全能性はともかく、トカゲのしっぽは細胞が脱分化して再生するのはよく知られていたことだから、ある種の刺激が全能性の一部を発揮していると考えれば、それほど突飛なことじゃないと考えることもできる。ある種のトカゲはそうなんだろうけど、そうじゃないトカゲの種類もたくさんあるだろうし、結局その生物の遺伝的な形質だといえる。

STAP細胞では一般的な刺激で、体細胞が万能細胞になるという触れ込みだったが、そんなに簡単にできるもんなのかなぁ、でも優秀なねーちゃんが大々的にNatureみたいな大メジャー誌で掲載されていたから、今はとりあえず人間では無理でも、実験動物では確実にできたんだろうなぁと思っていた。でも、思ったよりそうでもなかったわけだ。

マウスは実験用にかなり遺伝的に似てきていると思うから、そこいらの雑駁性というか、遺伝的なブレが少ない試料として使えるし、そのための品種ではあるわけだ。だから、色々な論文を読んできていた小保方さん的にも、数回成功しただけで確信を得てしまったのではないだろうか。まぁ手持ちのマウスで出来たんだから、他のマウスでも大丈夫でしょ、という科学的な希望的観測に基いてしまったわけだ。

でも、そういうのを急ぐ気持ちは分かる。世界的に研究されていることだから、そういう現象を発見したらすぐに発表してしまうのは誰でもやりそうなことだ。特許とか学術論文は早く出さないと先越されたらそれで終わりであることも多いし。まさに生き馬の目を抜く状態ではある。とはいえ、韓国人のときのような明らかな売名行為とは違って、一人でシコシコやっていたわけじゃないのであった。

今は自ら撤回することになったんだけど、恐らくそのマウスがそういう性質を持った遺伝子を持っていたということが考えられる。そうじゃなきゃ、再現性がないということは考えにくいし、そもそもネイチャーになんて載らない。恐らく、再現性がなかったのはSTAP細胞が作れないところにあったのだろう。恐らく、たまたまそういう遺伝的素養のマウスで作れたSTAP細胞の万能性は試したんだろうと勝手に想像している。

この論文には日本人だけじゃなくて、ハーバード大の外人も二人混じって研究している。みんな部分的に関わっているみたいだけど、本当に部分的なんだよね。多くはアイデアの部分で関わっていたりしているので、根幹のSTAP細胞を作ること自体は、小保方晴子さんしかしてない(って新聞に書いてあった)。そこがアキレス腱になっていたわけで、再現性が乏しいのは恐らくその部分なんだろう。もしかすると、彼女が他人にはよく分からない手順をしているとか、それを根本のところは隠しているとか、そういう事も考えうるけど、そこまで金勘定できてやっているような人でも無さそうではある。

ただ、遺伝子の特徴は調べていて、そこいらは続けて研究できるから、それで終わりですってことにはなりにくそうだ。ただ、塩基配列まで調べられていたとしても、すでにiPS細胞で万能細胞にするメソッドと遺伝子は知られているから、それを別の道でいくなり、似た作用をするなり、というアプローチなんだけど、結局、その遺伝子が万能細胞になりやすいという傾向しか得られない可能性だって大だ。そして、塩基配列が分かったとしても、それを持ってない生物(最終的に人?)には、遺伝子導入が必要になってくるから、それだとiPS細胞と同じになってしまうだろう。おいらのやったバイオテクノロジーはベクターで大腸菌に導入する事ぐらいしかないのだけど(それも一回きりで失敗したw)、現在の遺伝子導入法ではガン化しやすい傾向があるのは避けられないのだという。

そのうち、iPS細胞のがん化の抑制もできてきて、それが普通のガンに応用される気がするんだけど、なかなかガンの標的を定める事が出来てないみたいですね。STAP細胞も面白いけど、それってどの動物にも出来るわけじゃないよね、って事で終わりそう。それを乗り越えるには、もはや遺伝子レベルの改変が必要になっちゃうと思うので、結局また振り出しに戻るみたいな話になってきそうな気がする。




修士論文も書いた事ないので、有名雑誌に論文が出て、それを撤回する事自体、珍しい事なのかどうかってのが分かってない。これも単なる想像だけど、言い切っちゃった論文に関しては、それを撤回するってのは多くはないが、それなりにあるのではないかと思う。特に医学でカネに直結する事項はそういう傾向もあるのだろうと。というか、金になりそうで社会的利益が高いものについては、追試もしっかりされるから今回のような騒動に発展してしまうのだろうが、マイナーなものでは大して注目もされずに朽ち果てていくものも多いだろう。

今回は残念でした、としか言えないね。写真が云々って捏造もあるとされているけど、そこまで功を急ぐ理由ってのもそんなにないしね。ただ単に小保方さんが実際に作れちゃったから、根本的な再試を深く行なわなかったって事なんだろう。だって出来ちゃったんだもん、っていうのは一番の証拠だし、再現性がなければ論文として成り立たないってだけの話でもあるしね。それを出来なくて出来たって言っちゃうほどバカじゃないと思う。

剽窃の疑いは実際認めているらしく、恐らく出来てしまった結果が後付けで理論付けしなくてはならなかった時に、その方法論が実は小保方にも分かってなかったという事なんだろう。だって分化するところの実験は他の人もやってたみたいだし、その捏造に一緒に付いていくほどバカじゃないんじゃないんだろうとは思う。少なくともネイチャーに出すってことで気合い入れてやった事には違いない。小保方さんからES細胞を渡されたとかだったら色々もう終りだけど。

重ねて言うけど、自然科学ではよくありそうな事ではある。人文科学とは違って、言った事がきちんと出来るかどうかが問題だからね。彼女にはもっと活躍できる事項や分野がある事を祈ろう。でも、とりあえずはSTAP細胞を簡単に種横断的にできるようにしてもらうと有り難いですね。基本、高性能な人だからここで留まってほしくはない。気落ちしているなんて言ってるけど、結局自然科学の手続き的には未熟という他ないし、その行動は功を焦ったとしか言いようがないわけだ。でも、取り返しがつかないほどの事ではないし、逆にこれを完成させなければずっと人生の汚点になっていくとは思うので、あえて出来るまでしつこくやってほしいし、やらなくては科学者としては二流と言わざるを得ない。でも、努力がそのまま結果につながるなんていう世界でもないけど、最低限の努力のハードルが高い世界でもある。大変だと思うけど頑張れ。理系女子は好きだからw。

コメント(1) 
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miff

友達が言うには、上司に言うに言えない状況にあったんじゃないかってことだった。やっぱりそういう事を言いやすい上司と言いにくい上司はいるもんね。今回は気軽に途中で撤回できるような状況になったんじゃないかと。まぁハーバード大学の協力も仰いじゃってたし、嘘を言っていたわけじゃないにしても動き出してしまったプロジェクトに水をさせなくなってたんじゃないかと推測される。
by miff (2014-03-16 09:29)