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「哲学的な何か、あと数学とか」を読んだ。 [本]

この本はフェルマーの最終定理を書いた本です。特に哲学的なところはあまりないですが、教訓みたいなものはあるかな。装丁のピンクがけばけばしいけど内容は硬派なわりには丸い書き口。

哲学的な何か、あと数学とか (二見文庫)

哲学的な何か、あと数学とか (二見文庫)

  • 作者: 飲茶
  • 出版社/メーカー: 二見書房
  • 発売日: 2018/02/01
  • メディア: 文庫


外国の人が書いた厚い本も文庫になって買った気がするんだけど、積読でどこかにしまい込まれてしまった。これかな?もっと新しい本だった気がするんだけど…。

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

  • 作者: サイモン シン
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/05/30
  • メディア: 文庫


その本はそこそこボリュームがあったと思ったが、この本は二日ぐらいで苦労なくさっくり読めた。まぁ文字がでかいのもあるんだけど250ページ強もある本としては軽い感じで良かった。

ガチな数学の本なのだが、数式は本題の
xn + yn = zn
ぐらいしか出てこないので、数学自体の知識と式操作も必要ない。本当に内容を知ろうとする本ではなく歴史と概要を知るという本で、学術的に云々という本では全くない。

そんなもんだから、数学が門外漢の私でも違和感なく読めた。数学的な説明はないのだが、細かく説明しないだけで押さえるところはきちんと書いてあったと思う。暗号の勉強の行きがかり上、楕円曲線とか名前は知っていたが内容は正直よく分かっていない。楕円曲線に関してはモジュラー形式と関連性があるとしか書いていなかったんだけど、分野が違うところがつながるというパラダイムは科学ロマン的に楽しいものであった。

この本には書かれていなかったのだけれど、ポアンカレ予想のペレルマンの解法もそういう分野の違うところのつながりがあったと思う。とにかく物理の熱力学と数学の一分野がつながった解法なので、数学同士より分野の離れ具合は大きいものであった。まぁ物理学は数学に裏打ちされたものではあるのだが、それでも数学同士よりかは遠い気はする。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%AC%E4%BA%88%E6%83%B3

Wikipediaの説明は学術的なものに関してはうるさ方が編集していることもあり、宿命的に分かりづらい説明になっていることが多くてこれもそんな感じだ。というか、そもそもの前提がフェルマーの最終定理よりは格段に難しいというところはあるのだろうが、フェルマーの最終定理が入り口が単純すぎるという事もあるのかもしれない。


そういう見た目の単純さが多くの人の人生を狂わせてきたゆえんなんだろう。というか、そこまで人々が数学に踊らされていた事実を知らなかった。やっぱり世の中には数学にさえブームというものがありバブルは存在するのだ。でも、見た目が簡単だからと言って証明するのは簡単ではないことは、350年も解くのにかかったことでわかることだろう。

囲碁が単純なルールだけど将棋より難しいと言われるのと同じで、見た目が簡単そうなのは得てしてその組み合わせにおいて難解さが上がっていくことが多い。コンピュータも使いやすさと裏でやっていることの難しさは反比例している気はするので、世の中のものっていうのはそういう傾向があるかもしれない。

細かいところは数学的な難解さを封じ込めるために書いていないが、オイラー→ソフィー→ラメ・コーシー→クンマー→ワイルズという系譜はとても分かりやすく読める。私のように数学に興味があるけど計算はダメとかいう人にはお勧めな本である。数学的な解法を求める人にとっても、事前に歴史を知っておいて解き方を見るのは理解度が違う気がします。n次方程式の解の公式の話も書かれていて、それも結構楽しかった。数学が嫌いでもその歴史は面白いですぞ。できれば自分の手で解ければいいのだけれど、大体有名なものは難しい事も多いので歴史だけで満足するしかないのであった。

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