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ガンダムthe originはガンダム0的なものだったのね。 [アニメ]

中途半端にガンダムが本放送したときにはまだ小さくて見てもいなかったんだけど、その後のガンプラブームに引き寄せられて再放送を見ていた。その時はお兄ちゃんたちが率先してやっていたので、それに従った形で着いていったようなものだった。だから、アムロの心の機微やシャアの孤独さなんてほとんど分かっていなかったも同然だ。少なくともシャアもブライトさんも成人しているものとばかり思っていた。それくらい感覚が離れていた感じであった。

the originで過去の人が若返って出てきているわけだけども、あぁそういうことがあったんだね、という納得感があって見ていてしっくりとくる。ランバラルがダイクン系に従っていたこととか、カイがアムロと同じクラスだったこととか。カイに「さん」付けするアムロはどうなのよ、と思っていたが、留年して年上だったという設定があったりして、いちいち頷ける。フラウボウがアムロに「くん」付けで接していたのも、コロニーに来たばかりだからしょうがないことであったんだなと思ったり。その割にはガンダムに乗る頃にはフラウがアムロのこと呼び捨てにしていたのは、ちょっと世話女房すぎやしないか。フラウはアムロの幼馴染ぐらいに思っていたので、そこは少し違和感がないこともないのだが。

昔の本編でも、ジオン悪いはいいとして、地球連邦も大した違いはないという設定はあった。完全な勧善懲悪の話ではなかったものの、敵としてのジオンというものは揺るぎがないものであった。だけど、ダイクン家の乗っ取りに近いような、ザビ家の策略などがきちんとわかりやすく描かれていたのも、設定だけのものよりかは厚みを増したと言えよう。ザビ家が台頭しなくても、ダイクン家で宇宙移民の独立という話にもなっていた可能性は高い。

その場合、本当に勧善懲悪ではなくなってしまい、物語もわかりにくいものになっていたかもしれない。ともあれ、ジオンが暴走に近いことをするというのが前提のお話だから、そういう話にはならないのは当然なのだろうが、シャアが苦労して復讐しなくてもいい世界があったのかもしれないと考えると趣深い。


ただ、SFというか未来ものはアニメで描くのって難しいなと思う。まず初代ガンダムの時には携帯電話がなく有線のしかなかった。MSと交信を取り合うのはいわゆる無線的なものだと思ったが、よく考えたらミノフスキー粒子で阻害されるんじゃないかと思ったり。そしてオリジンの時には中折れ式の携帯電話が使われていた。でも現状、中折れ式のケータイなどは廃れつつあり、ほとんどが板っぽいスマホに変わってしまっている。そのくらいの時間差でテクノロジーが変わってしまうのだから、未来の話は小説でやるくらいが描写に困らないのかなと思った。

あとコンピューターの描写もかなり変わったと思う。アムロのお父さんの部屋が出てくるのだが、そこにはサーバーラックみたいなのがあって、これでいいのだろうかとちょっと思ったりした。ロボット技師であってコンピューター技師ではないからね。まぁコンピューターなしにはロボットはあり得ないのだけれど、RTOSを使うようなロボットと、サーバのようなコンピュータはちょっと違うしね。

ホワイトベースの中で、ガンダムの戦闘シミュレーションができるんだとか、ガンダムが学習コンピューターでやってくれるんだとか、今となっては当たり前にできそうなことを驚いていた気がした。むしろ宇宙で動くロボットが地球上で動くことの方がすごいとか思わないんだとか考えちゃうんだが。それとか、あんだけの大質量のホワイトベースが大気圏を行ったりできることの無駄さとか。


宇宙世紀が西暦何年なのかは知らないけど、下手に西暦を使わない方が真実味を増すかもしれないと思った。だってパトレイバーも初代マクロスもすでに過去の話になってしまっているのだから、お話がさらに陳腐化するのは避けられない。

ただ、何十年も前に月に人間が行った後に、これだけの長い間、宇宙開発が進まないとは誰も思っていなかったらしく、このくらいの長い時期があれば移民も進むだろうと考えられていたフィクションはほとんど吹き飛んでしまった。その代わりコンピューターやらケータイやらがはるかに進化したわけだが、正直どのテクノロジーがどれだけ進化するかは予想がつくものではない。

ともあれ、ガンダムがよく考えられ、後日談ならぬ前日談が作ることができた事を勘案すると、かなり成功したものであることは言うまでもないことであろう。本放送の時は途中で打ち切りだったらしいが、それは試合に負けて勝負に勝つみたいな感じであった。長期戦という意味においては大勝利を収めたと言っていい。それというのも、ガンダムが人間ドラマであり、MSの品評会であったことが大きくあったのだろう。だからSFとしてはパクリまくりの大駄作であったとしても、作品としては大きな試金石となったのは幸いだった。

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