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「スタンフォードの自分を変える教室」という本を読んだ。 [本]

いわゆる自己啓発本とかは嫌いだ。何かをやるための方法とか、方法論とか、How toの本なら技術書とか幾つでも買った。でも、やり方のやり方というか、メタ的な人生のうまくやり方、みたいなのは宗教本と大して変わらないと思う。

大体が自分の意識を根底から変えないといけないとか、それをやったら自分じゃなくなるみたいな方向転換を強いるものも少なからずあるみたいだ。第一、自分の生活スタイルを変えなきゃいけないほどの変革というものは今までを否定することにもなるので、それが失敗した場合は目も当てられないだろう。元に戻るのさえ困難になりかねない。宗教にハマって戻れない人はいくらでもいるだろう。


ともあれ、比較的に科学的っぽい本を選んでみた。著者がスタンフォードでPh.Dを取った心理学者ということだが、心理学とか社会学とかあまり信用していない。というか、人文科学は基本的に信じていない。2012年の著作みたいなのでそんなに昔の本でもない。ヨガとか統合医療の専門誌を編集しているロハス女というところか。

題名がThe Willpower Instinctで、直訳すると「意志力の本能」というところか。副題はBased on a Wildly Popular Course at Stanford Universityで、「スタンフォード大学の超人気コースに基づいてます」ということらしい。「スタンフォードの自分を変える教室」という邦題は意訳だけどそこそこ外れてはいない。原題と全然違う邦題の本多いからねぇ。特攻野郎Aチームくらいの違いしかないかな。シンディー・ローパーが怒るほどの程度ではない。


内容としてはわりと科学的だ。心理学と言ってもマウスの実験の話とか、実際に比較実験とかをしているのでわりかし信用できそうな結果が報告されている。

全編、意志力のことについて書かれている。「やる力」「やらない力」「望む力」と三つに分けられていて、意志力という言葉の他に、自己コントロールという言葉も頻繁に出てくる。自己コントロールという響きがちょっと怪しい気もするが、実際自分をいかに意図する方向に持っていくか、という話だったと思う。

それに伴う妨げになるストレスや環境的な傾向がたくさん並べられていて、これじゃぁ意志力も発揮できないのも頷けるよなと再認識した。ダイエットとか一般的な課題が例に挙げられていてわかりやすい。個人的には大脳新皮質の話とか、ドーパミンの報酬システムの理論などは、自然科学的に面白い話であった。正直、心理学なんて空を掴む話ばかりしているものだと思っていたが、別にそういうことでもなかった。


スタンフォードの自分を変える教室 (だいわ文庫)

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  • 作者: ケリー・マクゴニガル
  • 出版社/メーカー: 大和書房
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図解でわかるスタンフォードの自分を変える教室

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スタンフォードの自分を変える教室 スタンフォード シリーズ

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何かを成し遂げようとすることに困難を感じる人にオススメかもしれない。世の中にはそんなに「石のように硬いその意志で」っていう感じの人は少数派だと思うので読んで損になることはないものとは思うのだけれど。

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